こんにちは。

今日はJR西日本から興味深いプレスリリースがありました。
<2020年1月30日プレスリリース 芸備線(新見~備後落合駅間)の増便について>


芸備線の中ではかなり閑散としている区間ですが、この区間で増便が行われるとのこと。プレスリリースの記事にも時刻の記載がありますが、備後落合駅での乗継ぎも含めてみました。

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赤字が増便となる列車)

車両運用の概要としては、新見7:17→東城7:56/11:56→新見12:30と運用していた車両を備後落合まで伸ばし、新見まで新たに増便される列車で帰って1往復。その間に新見⇔東城間に1.5往復を新たに設定して増便する。

芸備線(三次方面)、木次線のダイヤは改正前ダイヤを暫定で載せましたが、公式でも接続するよう記載があるため乗り継ぎはできるでしょう。青春18きっぷシーズン中も増便されますが、9時台に新たに3方向に相互乗換えができるようになるのは、旅行者には嬉しい情報かもしれません。



一方でプレスリリースを見る限り、ある「前例」との比較をせざるを得ないと感じたのも事実です。
<2012年8月24日プレスリリース JR三江線増便社会実験(バス)の実施について

もう8年前になりますが、三江線では路線廃止の5年半前にあたる2012年10月~12月末までの3か月間、バスによる「増便社会実験」が行われました。結局、乗客は大きく伸びることもなく、路線廃止へとつながっていきました。

三江線の場合、複数の駅で民営化後しばらくして行き違い設備を廃止しており、路線延長の割に列車を増やせなかったことでバスによる増便をしたのでは、と考えることはできます。しかしそれは逆に、増便できるアテもないのに社会実験をしたのは最初からバス転換の結論ありきだったのではと勘ぐってしまいました。ネットか何かで見聞きしましたが、"乗客が増えたらバスが便利だということだから三江線は廃止、乗客が増えなかったら列車を増やしても乗らないんだから三江線は廃止"とかナントカ…(^^;

今回の芸備線の場合、ダイヤを見る限り気動車1両ふやせば対応でき、定期列車の延長運転により前述の9時台における備後落合駅での3方向相互乗換えも可能になります。これ自体は利便性向上に資するものですが、一方それで利用が伸びないことは、利便性を上げたが乗客が増えず、そもそも沿線人口自体が少なく鉄道経営が成り立たない、という路線廃止への"口実"ともなり得ます。

増便は「実験」などと銘打たれているわけではありませんが、唐突かつ明確な理由に乏しい期間設定だったり、プレスリリース中に「自治体などの取り組みとあわせて利用促進を目的とした増便」とありますが、具体的な"自治体などの取り組み"が何なのかがよくわからないのも気になりました。

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東城~備後落合間にある小奴可駅。この2017年2月26日()に訪問した時には高校生がひとり14時過ぎの列車を待っていました。東城~備後落合間はこの駅くらいしか開けた場所に駅がありません。別の日に備後落合から14時台の列車に乗車した時は、通院と思しきお婆さんが降りていきました。

同区間は2015年の輸送密度8人/日という衝撃的な数字を叩き出しました。私は何度か、平日や青春18きっぷシーズン以外でも使用したことがありますが、日常利用はそのくらいに少ないのです。


鉄道事業者も民営であり、利益追求が必要です。JR西日本はそんなに経営基盤が盤石でない中、公共交通機関としての公益性を維持するため、多くの赤字線に投資をして維持しています。しかし、本当に鉄道による輸送が適切であるかは別の問題であり、少子化や過疎化の進行で閑散路線が生じてくる以上、このような議論が行われることは、時にやむ無しとも感じています。

昨日には、城端線・氷見線についてもプレスリリースで将来的な在り方に関する言及がありましたが、合わせて状況に注目していきたいと思います。そして折角の増便ですし、利用機会があれば積極的に利用していきたいと思います。

<2020年1月31日補足> 岡山県内の地方紙・山陽新聞の記事がありましたのでリンクを掲載します。自治体で利用促進に取り組んでいる旨の記載がありました。
https://www.sanyonews.jp/sp/article/980522
(リンク切れ等の際はご容赦ください。)


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